2019.11.24 ファントム 感想

2019.11.24.Sun
@赤坂ACTシアター

エリック…加藤和樹
クリスティーヌ…木下晴香
シャンドン…廣瀬友祐
少年エリック…大河原爽介

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※ネタバレ有、推し贔屓強めな主観的な感想です


ちょうど一年前に、仙台での劇団四季の「オペラ座の怪人」を見に行った。小学生の時に映画版も見ていた。
そんなオペラ座の怪人遍歴(?)を経て、今回の観劇を決意。ちなみに、推しの芝居を生で見たのは初めてだったんですね。ぴぇん。

みなと一緒に行ったわけだけど、推しに会えるってだけで脳みそ溶けてるから、グッズは欲しいだけ買った。トートバッグは大学にちょうどいいからヘビロテ決定だし、暖かくなったらファントムTシャツで和樹さんとおそろコーデができるってすごい…。さすがにきらりん✩らめ♡ポーチ(表記あってるか不安すぎる)は用途が見つからなくて買わなかったけど、公式から和樹さんが持ってる写真あがったら危うく買うところだった(ちょろい)

開演前からキャストさん方がロビーやフロアで雰囲気作りをしてくれたのは、とっても世界観に入りやすくて良かった!!特に、2階席に来てくれた靴磨きの少年の照れ臭そうな「Bonjour」は、控えめに言って最高だった。あとはロビーにいらっしゃった紫のドレスの方が、エレベーターで出てくるところにびっくりしました…いい匂いしたし…
さて、そのままの流れで本編へ。もちろん演者さんの歌が下手なんてことは無いんだけど、街の中で楽譜を配るクリスティーヌの歌声が、まだ技巧的ではなくて素朴な感じがして、ここからどれだけ化けるんだろうかとワクワクした。多幸感ってこういうことか、って感じの世界で、ガチ恋製造機シャンドン伯爵もめちゃめちゃイケイケで出てきて、ここは天国なのかと錯覚してしまうほど。
そして出ましたオペラ座のファントムことエリック。えっかわいい。可愛すぎないか????なんだあの癖もないストンとした髪型。童貞感しかない吃り方。陰キャの如き挙動不審…。母性本能を擽られる感覚で、あっこの子育てたいってめちゃめちゃ思った。普段のかっこいい和樹さんとのギャップで、地球の自転方向変わるかと思った。
エリックが唯一本音を言える相手がお父さんであって、序盤ではそれが明らかにはなってないけど、なんとなく空気感から予感はしてた。結果的にそうだったし。まあまあ早めなところから声荒らげたりしてて、えっ駄々こねてるショタ…?って幻覚が見えていた気がする。35歳があそこまで幼い演技をするって、実力派にも程がある。
そしてクリスティーヌの歌声をエリックが聴いてしまって、声をかけるシーン。必死に姿を隠そうとしながら、必死に話をする姿が、必死すぎて愛しか無かった。自分に関心を持って欲しいけど、人と関わることが極端に少なく生きてきたから、上手く距離感が掴めてない感じがリアルだなぁ。たぶん、シャンドン伯爵が初っ端からクリスティーヌといい感じの距離で接してるから、それと対比してみていたのもあるけど。
エリックがピアノを弾きながらクリスティーヌに歌唱指導するシーン。発音しにくい音であそこまで綺麗に詰まらず発生するのは、2人ともプロだなぁと。あとは指フェチとしては、エリックの指元見てしまった。だんだんとクリスティーヌの声の伸びとかが良くなっていくのを実感できるのは、最初の歌い方を少し稚拙的にしてたからだし、すごいの一言だった。でも、エリックが必死に顔を隠しつつも歌唱指導する姿が、少しだけ狂気じみて見えて、後の展開が何となく読めてしまって切なかった。
クリスティーヌがみんなの前で歌って評価されるシーン。その時は歌うめぇ、しか思わなかったけど、休憩時間に気づいたのは、その前の歌唱指導のシーンでエリックが舞台やドレスとかを用意するって言ってた気がして、あの黄色のドレスをクリスティーヌに似合うと思って作ったのはエリックなのに、そのドレスを着てシャンドン伯爵と逢瀬してるって、メンタルやられるやんこれ…。それに、エリックは地下にいるのが普通なのだという風に考えた時に、クリスティーヌの綺麗に着飾って歌ったあの楽しそうな歌声を、エリックは聴けなかったんだなぁって思うと、胸が締め付けられる。
クリスティーヌが舞台が決まって、控え室で支度してる時に、エリックが一輪の薔薇をプレゼントするために隠し持っていたシーン。一輪の薔薇の意味は「一目惚れ」、それが転じて「あなたしかいない」(運命の人)という意味も込められているらしい。いや、愛重いな!!知ってたけど!!ちらっと花を見てマントの裏に隠すシーンとか、子供が初めて好きになった子にプレゼントを渡すためにソワソワしてる時に見えて、可愛いな…しか思えなかった。けど、その後にシャンドン伯爵が立派な花束を抱えて部屋に入ってきて、クリスティーヌとキスを交わすのを鏡の裏から見ちゃうエリック可哀想すぎる。狂気の始まりだなと思った。欲しかったものを取られちゃった子供がごねるのと同じことで、初めて愛したクリスティーヌを取られちゃったから何としてでも取り返したくなるんだろうな。
さて少し飛んで、クリスティーヌを地下へ運ぶシーン。四季版でも映画版でも好きなシーン、推しが演じてくれるって奇跡にも程があるぞ…?フライングで助けに来てから、シャンドン伯爵を一瞥するように見て運ぶわけだけど、優しく漕ぐところとか、抱き上げ方とか、クリスティーヌへの愛というか慈悲?が溢れんばかり滲み出てて、エリちゃん…!!!(感嘆)ってなるよね分かる。ラストのあたりも勿論名シーンには変わりないけど、私的名シーンすぎる。
エリックの過去が明らかになるシーンで、父子関係や母親が明らかになるわけだけど、果たしてクリスティーヌは、その過去を知らなくても地下に残ってくれたのか。知ったが故の同情心じゃないのかな。本当にエリックを愛してくれたの?と疑念が残る感じがして、エリックもクリスティーヌも2人ともピュアだから、なんとなく今後の展開が予想出来たなと。
クリスティーヌが地下に残ることを決意して、エリックと過ごすシーンは、圧倒的にオチが予想できて辛かった。人付き合いが極端にないエリックなりの精一杯のおもてなしと思うと、余計に胸が締め付けられる。ピクニックとか、エリックの中では幼い時にお母さんとしたような微かな記憶なのかもしれないし、もしかしたら本とかでしか知らなくて初めてだったのかもしれないし、ウキウキしてるのが伝わってきたなと。逃げずに一緒にいてくれるクリスティーヌに顔を見られるのは、彼にとっては大きな賭けで、でもクリスティーヌがあそこまで言ってくれるならと外したわけだ。それなのに拒絶されて、どれほど悲しく恨めしく思ったのか。つい数秒前まで受け止めると言ってくれていた、信じられると思っていた人の裏切りは、地下で暮らすことよりも、怪人(ファントム)と自称することよりも、何よりも辛かったろう。
最後、 エリックは父との和解を経て、死を選ぶわけだけど、彼にとっての幸せはあれで合ってたのかは分からないな。でも、彼が望んだ死で、父の引き金、愛するクリスティーヌの傍で迎えたその瞬間、以上の条件を加味すると、あれがベストなのかもと思える。

前評判も良く、期待して行った『ファントム』、期待以上の出来で大満足でした…!!!!和樹さんを見に行ったのに、エリックしか見えなかったのは、それだけエリックが和樹さんに憑依してて、彼等が同化してくれたおかげかなと。ただ、エリック死後の世界も少し気になったりしたな。四季版『オペラ座の怪人』では、エリックの生死が不明のまま消えてしまうわけで、今回は死が確実なのにそこで終わるのかーって。クリスティーヌとシャンドンがくっつく?とか、あの地下牢はどうなるの?とか、知りたかったな。でも、推しがかっこよかったからOKです!!!!!!!!